⑤ 海外動向・国際比較
- 5月2日
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更新日:5月15日
「日本の役員報酬は低い」── 本当の問題はどこにあるか
当社の強みは、米国ペイ・ガバナンスLLCのグローバルな知見と、日本法人として日本企業の役員報酬ガバナンスに向き合ってきた実績の組み合わせにあります。米国でS&P500やラッセル3000構成企業を含む幅広い企業を支援してきた経験と、日本市場の文脈を踏まえた洞察を掛け合わせ、各クライアントの状況に応じた助言をご提供します。
「日本の役員報酬は低い」 ── ずっと言われ続けてきた定説です。でも、なぜ低いのでしょうか? 本当の問題はどこにあるのでしょうか?
実は、現金の差は意外と小さい
Pay Governanceの2025年調査では、過去5年(2020〜2024年)の役員報酬総額の中央値は、米国大企業(S&P500)が日本主要企業(TOPIX100)の約6〜7倍でした。確かに大きな差です。
ところが、現金部分だけに絞ると、差は1〜2倍まで縮まります。米国企業が業績不振である年には、個社レベルで日本企業に逆転されるケースも珍しくありません。
また、報酬水準の平均成長率は、日本が約13%、米国が約8%。日本のほうが伸びています。絶対水準の差は大きいけれど、その差は確実に縮まっているのです。
では、本当の差はどこにあるのか
差は「水準」ではなく「構造」にある
米国企業では中長期インセンティブが報酬総額の70%程度を占め、トップ企業では90%に達するケースも珍しくありません。一方、日本の上場企業は30〜40%ほどで、米国の半分程度です。
つまり、日米の役員報酬格差の本質は、現金の多寡ではなく、株式報酬の水準と設計の差にあります。「企業価値の増加に対して、どれだけ強いインセンティブを与えるか」── そこが両国の決定的な違いです。
規制の方向性も、世界は分岐している
米国では2022年にSECが業績指標と報酬実績の連動性の開示(Pay versus Performance開示)を義務化しました。欧州ではESG指標を中長期インセンティブに組み込む流れが拡大しています。一方、米国ではトランプ政権下でESGやDEI関連指標の見直しが進んでおり、世界の方向性は分岐しつつあります。
📘 Pay versus Performance(PvP) ── 「報酬と業績の対応関係」を米国SECが義務付けた開示規則。実際に支払われた報酬と業績の連動を表で見せる
日本はこの中で、どこへ向かうのか。米国型あるいは欧州型をそのまま輸入しても、日本企業の実態と投資家との対話の文脈に合わなければ、形だけのものになってしまいます。
海外動向を客観的に把握したうえで、自社の戦略に整合した設計を、自社の言葉で語れるか。それが、これからの報酬ガバナンスに求められる姿だと私たちは考えます。
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